【完結】私、実はサレ妻でした。


 私たち家族を裏切ってまで、宍倉円香とセックスがしたかった訳?
 そんなの許される訳がないでしょう? 

 あなたはどこまでクズなの? どこまで最低なの?

「……すまない、実乃梨」

 だけど夫は、私に謝罪してきた。

「それは何の謝罪なの? 私を裏切ったことを認めるっていう謝罪?」

 そう問い詰めると、夫は「……ああ、そうだ。本当に済まなかった」と頭を下げてきた。

「あなたは、謝って許されるとでも思ってるの?……あなたは私たち家族よりも、宍倉円香という女の方を優先したのよ。分かる?」

 子供たちはパパと行けなくて残念だったと言っていた。
 あの子たちは優しいし賢いから、パパがお仕事で行けないのだと理解して、それでもわがままを言わなかった。

 一緒に行きたいと思っていたけど、それだって仕方のないことだと理解していた。
 そんな子供たちを裏切って、悲しませて……。とことん許せない。

「……本当に、本当に申し訳ないと思ってる」

 夫の表情からは、何にも見えなかった。

「申し訳ないと思ってるなら、何で浮気なんてしたの? しかもあなた、宍倉円香に指輪まであげてたんでしょ?私、知ってるのよ」

「……指輪のことも……知ってたのか」
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