【完結】私、実はサレ妻でした。


 夫のその表情からは反省の色が見えているのか、私には分からなかった。

「あなた……どうして浮気なんてしたの? どうして……。私、あなたに何かした? 私は一生懸命あなたに尽してきたつもりだったのに……。私の何がイケなかったの?」

 と夫に問い詰めるが、夫は何も言ってくれそうになかった。

「……黙ってないで何か答えなさいよ!?」

 私は怒りからか、夫の胸ぐらを掴んで問い詰めていた。

「実乃梨……君は何も悪くない……。悪くないんだ……」

「はあ?悪くないなら、何でなのよ!」

 私が悪くないというのなら、何で……。

「……最初は円香の方から、俺に声をかけたきたんだ」

 夫はゆっくりと、口を開き始めた。

「円香があのカフェで働いてることは、俺も前から知ってたし、カフェで前から何回か話したこともあった。……円香は彼氏にフラレて落ち込んでると言っていた。 そしたら突然、円香が俺に慰めてほしいって言ってきたんだ……」

 はあ? 慰めてほしい……?
 何言ってんの……?

「俺は最初断ったんだ。けど、円香が一晩だけでいいからそばにいてほしいって、俺に頼み込んできて……」

「……それで浮気したってこと?」 

 そういうことなの……?
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