【完結】私、実はサレ妻でした。


「パパはひとりでさみしくないのお?」

「そうだな……。そりゃあ寂しいよ」

 私だって、夫との日々を思い出すと泣きたくなる。
 楽しい思い出もたくさんあるから、忘れられる訳はない。

 夫との思い出も、子供たちとの思い出も、私にとっては全部宝物なの。……全部全部、大切な宝物。
 大切な物しかないから、だからこそ辛いの……。

「ぼく、ママとパパとみんなでいるほうがたのしいよ」

「ぼくも! ママもパパも、だいすきだよ」

 子供たちからそんなことを言われた私は、堪えていた涙が抑えきれなくなった。

「ママぁ……?」

「ママ、だいじょーぶ?」

 子供たちからの愛の言葉は偉大で、気が付けばとめどなく涙が溢れてきた。
 
「ごめんね、二人とも……」

「ママ、なかないで」

「ママぁ……」

 子供たちが私のそばに来て、慰めてくれる。

「空斗、流斗。パパは離れてても、お前たちのことが大好きだぞ。お前たちはパパの大切な宝物なんだからな」

「パパ、ぼくもパパのことだーいすき!」

 子供たちがこんなに私たちを愛してくれている。だからこそ私たちは、子供たちに寂しい思いをさせてはいけないんだ。
 子供たちには笑っていてほしい。 ずっと元気でいてほしい。
< 67 / 76 >

この作品をシェア

pagetop