【完結】私、実はサレ妻でした。


 夫と出会って、結婚して夫婦になって、そして子供が出来て、こうして家族になった。
 その瞬間から私たちは、どこにでもいる普通の家族になれていたと思っていたのに……。

 思い出すのは、あのラブホテルのレシートのことばかりだ。
 なんであんな所に、ラブホテルのレシートがあったのだろうか。

 ……何であの人が、あのレシートを持っていたのか。
 でもあのレシートを持っているということは、夫があそこに行ったとしか考えられない。

「……はぁっ」

 あんなの気付きたくない事実、だった。
 知りたくなんてなかった。 そしたら私は、ずっと夫のことを愛せると思っていたのに。

 なのにその事実があるかもしれないというだけで、胸が痛くて張り裂けそうになる。

「……何でこんなことになるんだろう」

 私は夫と22で結婚して、空斗を産んだ。そして24で流斗を産んだ。
 夫とは確かに授かり婚ではあったけど、それでも家族になって一層、幸せになれると思っていた。

 ーーーなのに私に突然降りかかる、悪魔の微笑みが、私を狂わせようとしている。
 私はどうするべきなのだろうか、私はこの事実を夫に伝えるべきなのか。
 それすらも分からない。……どうしたらいいのだろう。

 その日はずっと、そんなことばかりを考えていた私であった。
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