明日はきっと、晴れ。
「ありがとうございました!」
そう執事さんに挨拶をして車を降り、真っ暗な家の扉を開ける。
「ただいま〜」
そう言ったところで誰か返事をしてくれるわけでもないのに、毎日言ってしまう。
わたしはこの家で1人、静かに生活している。
時々ひかりんや校長が来てくれるくらいで、
しんとした空間に1人。
浴槽にお湯を張りながら、今日の出来事を振り返る。
今日はなかなかに濃い1日だったな。
でも、あれ?今日わたし何したっけ…
思い出せないまま、浴槽を眺めていると
あっという間にお湯がたまった。
制服を脱いでお風呂に入る。
どんなに1日が充実していても、
幸せな気持ちでいっぱいになっても、
何もしなかったとしても、
時間は規則正しく時を刻み、
規則正しく過ぎていくだけだから何故か虚しくなる。
ブクブクブク、とお湯に沈む。
左腕には青い蝶が掘られていて、
それを見ると何故か懐かしくなる。
何故か生きなきゃ、という使命感に駆られる。
この青い蝶の存在を知るのは
校長とひかりんと律くん、誠也くん、澪くん、新くん、それから美琴くらい。
いつ入れたのか、何のために入れたのか、
わたしは全く覚えていないのに
校長やひかりんは知ってたなぁ。
詳しくは教えてくれなかったけど……
そんなことを考えているとふわふわと身体が浮いて、力が入らなくなってきた。
ここで寝てはいけない、そう思っても瞼が落ちてくる。
急いで脱衣所に出て、服を着て、リビングのソファーにもたれかかる。
髪も濡れたままで、
わたしは暗闇に身を委ねるように
静かに意識を手放した。