明日はきっと、晴れ。


「ありがとうございました!」

そう執事さんに挨拶をして車を降り、真っ暗な家の扉を開ける。


「ただいま〜」
そう言ったところで誰か返事をしてくれるわけでもないのに、毎日言ってしまう。

わたしはこの家で1人、静かに生活している。
時々ひかりんや校長が来てくれるくらいで、
しんとした空間に1人。



浴槽にお湯を張りながら、今日の出来事を振り返る。

今日はなかなかに濃い1日だったな。
でも、あれ?今日わたし何したっけ…

思い出せないまま、浴槽を眺めていると
あっという間にお湯がたまった。

制服を脱いでお風呂に入る。

どんなに1日が充実していても、
幸せな気持ちでいっぱいになっても、
何もしなかったとしても、

時間は規則正しく時を刻み、
規則正しく過ぎていくだけだから何故か虚しくなる。


ブクブクブク、とお湯に沈む。


左腕には青い蝶が掘られていて、
それを見ると何故か懐かしくなる。

何故か生きなきゃ、という使命感に駆られる。


この青い蝶の存在を知るのは
校長とひかりんと律くん、誠也くん、澪くん、新くん、それから美琴くらい。


いつ入れたのか、何のために入れたのか、
わたしは全く覚えていないのに

校長やひかりんは知ってたなぁ。

詳しくは教えてくれなかったけど……

そんなことを考えているとふわふわと身体が浮いて、力が入らなくなってきた。

ここで寝てはいけない、そう思っても瞼が落ちてくる。

急いで脱衣所に出て、服を着て、リビングのソファーにもたれかかる。

髪も濡れたままで、



わたしは暗闇に身を委ねるように
静かに意識を手放した。
< 17 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop