明日はきっと、晴れ。
俺と校長は世間一般的には従兄弟という関係。
従兄弟とはいえ、校長の家族は親族内では縁を切られた不良家族、
なんてレッテルを貼られて滅多に会うことはないんだけどな。
中1で裏の世界に入って校長が族のトップ張ってるみたいなのを風の噂で知って、
中2の頃にひかりんとこに弟子入りした。
そこで、麗、というより冷蝶と出会った。
会ってると言っても、俺が遠目に存在を知っているだけ。
彼女(冷蝶)もまた、哀しい目をしていた。
麗と冷蝶が同一人物だったと知ったのは、
高校1年の5月。さっきの話の日。
それまでも族のような集まりはあったが、
族という名を自ら名乗り始めたのはその頃。
族を名乗る前はその集まりの中に美琴以外の女もいた。
俺に付き纏っていた、咲良という女。
美琴は喧嘩ができたが、咲良はできなかった。
正式な族なら美琴は下っ端、咲良は姫というようなもの。
まあ咲良の態度が好きではなかったので追い出したけど。
美琴は強いから傷ついた素振りは全く見せなかったけれど、相当いじめられてたみたいだ。
今の幹部がどうやって決まったかは覚えてないけど、
俺が族を作りたいと言ったときについてきてくれた、信頼できるメンバーだ。
翼という名前は翼があればどこへでもいける気がするから、
という小学生のような発想でつけた。
メンバーを入れ替えたのは麗と冷蝶を救うため。
その意見は幹部の満場一致だった。
同じ5月の下旬に麗を迎え入れて、
8月には20人近くの仲間が増えて、
11月の大抗争で全国No.1に躍り出てしまった。