明日はきっと、晴れ。
麗が意識を失うと、現れたのは冷蝶。
「あーもうまだ昼じゃない!」
扱いが荒いんだから!
とかぐちぐち言いながら俺から離れて伸びをする。
麗の真っ黒な髪とは対照的な純白の髪。
普段は大きくて輝きに溢れる黒い目とは違って
光の入っていない、でも鮮やかな青色の眼。
いまだにこの姿には慣れない。
「………麗が、壊れるかもしれない」
全国No.2の暴走族の黎明が動き出した。
黎明のバックには前に麗がいた施設の、麗を監禁していた施設長が率いる組がついている。
黎明の幹部には新の双子の弟の一(ハジメ)が属している。
一は咲良をこの族から切り離してから、
スパイとして黎明に送り込んだ。
有能で信頼できる奴だ。
双子だということは校長の情報操作で隠されていて、
黎明のハッキング力ではおそらく到底知ることのできない情報だろう。
一とは頻繁に連絡を取っていて、
彼が新の祖父の家の近くで荒れ始めたことを教えてくれたらしい。
そして大抗争のある11月より前に、翼に乗り込む計画を立てていることを教えてくれた。
黎明もバックにつく組もクスリや未成年飲酒・喫煙、無免許運転など、
違法行為常習犯で容赦なく一般人を巻き込むことで裏の世界では有名だ。
「狩りができるのか」
冷蝶はニヤッと笑って呟いた。
背筋が凍るようなこの笑みで数々の男を倒してきた。
冷蝶は血を出さずに華麗に数々の族を潰してきた、伝説の女。
だけど、そろそろ体力が限界なのだろう。
最近冷蝶としての活動中に息切れすることが多くなってきたように思い、
校長やひかりんに尋ねると麗と冷蝶の変化、
いわゆる変身で相当な体力を使っているのだろう、とのこと。
最終的にどうなるかわからないけれど、
一刻も早く彼女の闇を取り除かないとレイは壊れるだろう、
と頭を抱えていた。