明日はきっと、晴れ。
「急だけど明日からしばらくじいちゃんのとこで生活することにしたんだ。
昨日、家帰ったら病院から電話かかってきて、ばあちゃんが倒れたらしくて。
そんで誠也は知ってるだろうけど
最近ちょうどじいちゃんの畑がある辺りが
亜樹を襲ったらしき族の管轄内にはいったらしくて気になることがあるんだよね」
新くんは申し訳なさそうにわたしを見た。
訳が分からず大丈夫だよ、と笑って見せた。
そんな様子を見ていた律くんが黙って手を包んでくれた。
亜樹(アキ)くんは翼のメンバー。
わたしが姫として翼に居座る前は幹部以外は下っ端って呼ばれてたんだけど、
やっぱりみんなと仲良くしたいからわたしはみんなのことを名前で呼ぶし、
下っ端という言葉は使わずにメンバーと呼ぶ。
みんな仲間想いで本当にいい子たちなの。
「それってもしかして奴が動いたってことか?」
「…おそらく、彼だと」
手に力がこもった律くんが尋ね、
それに誠也くんが制服のポケットから手帳を取り出して遠慮がちに答えた。
その一言でピンと緊張した空気が張り詰める。
彼、その1単語で鮮明に蘇るあの日の記憶に、胸が苦しくなる。
息がうまく吸えなくなって、視界が真っ黒になる。
とん、とん、と背中にあたたかい大きな律くんの手が規則正しく脈を打つ。
「俺がそばにいるから」
その言葉を最後に、わたしは意識を手放した。