俺の世界には、君さえいればいい。
*初めてばかりの冬*
「お父さん、どこか怪我したりしてない…?」
「ん?怪我?とくにない───えっ、おいかなの?」
「あっ、ここ腫れてるね…!待ってねすぐ手当てしてあげるから…!」
「いやっ、これは虫に刺されただけなんだが……」
無理やりにお父さんの親指に湿布を貼って、その上からテーピングで固定する。
最後は包帯を巻いて…っと。
「よしっ!これで安心だねお父さん」
「……娘が……かわいすぎる、」
「え?」
「すみれ…!俺の娘が可愛すぎる…!!」
そう言って泣きついたお父さんを、「親バカも大概にしなさーい」と笑顔で弾き返すお母さん。
お母さんもお父さんもお家にいる今日は、12月24日───クリスマスイブ。
私はあれから動画や本、ネットだったりで、捻挫や打撲の応急措置の仕方を調べてはこうして実践する毎日だった。
「あ、お母さんそろそろ予約したケーキの時間じゃない…?」
「本当だわ!あー、でも今ちょっと手が離せないのよ~」
「私が行ってこようか…?」
「あら、いいのー?気をつけてね」