ノート





木瀬野蘭汰様



いかがおすごしでしょうか。
挨拶が手紙になってしまい、すみません。


 あれから、中途半端になりました。

未練なんて、なかったです。

俺は目を背けただけでしたから。


 いろんな本や広告が目につくなかで、誰かと歩く。
それは自分一人が晒し者になった世界のなかで


周りにじろじろ見られて比べられながら歩く気分でした。

誰かと居ようと

意味を成さないくらいに。
全部が実感を無くしていて。

目を背けようと、歩くたびに、

幾度となく突き放される、一人の世界は

耐えがたいものでした。

名前を呼ばれるのが

きらいです。

自分を認識されるのも

なによりも きらいです。





 間接的にでも、
存在を晒されるということ

耐えられるはずもありません。



「別にいいじゃないか。想いは恥ずかしいことじゃない 」

あれから、少しして
違う人が、本で
言っていた言葉ですが、
俺は恥ずかしいからじゃなくて


少しのことで死にそうなのに余計な刺激をしないでもらいたいと、

そう思った。



恥ずかしいのは、その
上滑りのほうですね




なにもかもが刺激となり、俺はその視線に、感情に、ただただ、痛め付けられました。
何をとっても、痛みしかありません。誰も 俺に直接言いに来ないくせに。

許せないと、あれから、
そう言ったら、なんていわれたか。

「そんなに来て欲しいのか、ビッチじゃないか」

顔も見たくないのに、
来させてやる、くらいなのに。

なぜ、こちらが見下されるのかは

理解に苦しむものでしたよ。







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