ノート




 夕日が傾き、今日が半分くらい終わりかけていた頃。
住まいの一軒屋から、徒歩10分のスーパーを目指して出掛けた。
 暑すぎるから、アイスでも買おうと思ったのだ。
半袖のシャツから伸ばされた腕に丁寧に日焼け止めを塗ったが、おかげで汗でぬるぬるしている。
いつものクセで、携帯のメモを開いて今日のことを書いた。

「アイスを買う。
もなか、か、もちにしたい」
書いてないと忘れがちだ。
「それから、ボールみたいなやつ」

誰も見ないから

「 ボールみたいなやつ」で充分、自分には伝わる。
夕暮れの、紫と赤と青が混ざりあうような奇妙な空を遠目に見ながらも、俺は飛んできた、ボールに、気がつかなかった。
「ごめん、心のキャッチボールがしたくて」
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