ノート
……。
おとなしくなったって、そういうこと?
最近の静けさはフラグだったのか。
あきれた俺は、返事が浮かばない。
「いや、だってお前ずっと寝てるし」
そりゃそうなので返す言葉はなかったが、なんとも言いがたい気分が俺のなかを駆け巡った。
「姉は……ちょっと」
厄介ごとが増える。
おおもとになった彼と一緒に居る姉を想像してみたが、これでは彼に責任をとらせる前に、姉が割り込むだろう。
会話どころではない。
それに姉は後先を考えない。
熱が上がりそうになったところで、河辺はさらに付け足した。
「お前、なんか最近怖いしさぁ、昨日だって気持ち悪いから。
もういいかなって!」
「わかった」
「ちょっと私待ってるんだけどどういうこと?」
また電話が来て、いきなり怒鳴られた。麻奈美とかいう人だった。
「元気だよねぇ。気分だとか怠けの代名詞だよねぇ? そんなに会いたくないの、つーか学校来る気あるのかな」
ひきこもりの気分って、こんな感じなのだろうか。始めて体感した気がする。
会話が驚くほど耳からすり抜けていき、ただ呆然とする自分が居るだけだ。嫌われようが構わないからと黙って電源を切った。
明日を生きていく気があるかどうかというときに来る気があるかどうかなど考えるはずもない。明日は連絡しようと思った。
けど、その前になっちゃんに電話をかけようかどうしようか迷った。
でも、余計になにか背負いそうで、背負わせそうで、プレッシャーがのし掛かってそれはできなかった。
次の日も休んでいたら、河辺から連絡が来ていた。
「性格が悪いな」