夕暮れ、人の消えたこの街で。
俺は咄嗟に、この家にいてはいけない、という気になった。

その擦るような音が、段々と階段を降り、1階の俺の所へ近づいてきていたからだ。

俺は、帰ってきてから玄関に投げ捨てられたままのカバンを持ち、急いで靴を履き、玄関から飛び出た。

家から少し離れ、踵で踏んでいる靴を履きなおす。

やっと危機感を覚えた俺は、カバンの中のスマホで、2人の友人に連絡した。

「バカほど仲良しなアホ共」という、ネーミングセンスの欠片も無いLINEグループを開く。

俺と、先程まで一緒に遊んでいた2人とのグループだ。

言っておくが、この名前を付けたのは俺ではなく、彰人だ。

決して俺は案を出していない。決してだ。

…まぁ、そんなくだらないことはどうでもいい。

それより、2人に今の状況を伝え、相談することの方が先決だ。

俺は震える手で文字を打ち、送信した。
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