ストロベリーバニラのキス ひねくれた純愛(おまけの小話・その2)
「私は親を知らない、
家族もいない、友達も、
恋人も・・・

トーマス・ハミルトンは、
私を自分の助手として見ていた。
使えなければ、
すぐに難民キャンプに強制送還
されていただろう。

だから・・
私には家族のイメージすらない」

教授は泣きそうだが、
無理に笑顔をつくるように、
俺を見て言った。

「カーライル、
私は君には、幸せになってもらいたいと思っている。

確かに君は問題を起こすし、
女遍歴も多いが、
本当の君は、誠実で優しいのだろう。」

教授が少し頭を振ったので、
髪の白いリボンが揺れた。

「話は以上だ。時間を取らせて悪かった」
教授は小さくうなずいて、
立ち上った。

俺はすぐに立ち上がり、その腕をつかんで、
逃げようとする子ウサギを
捕まえた。
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