一縷

誕生日よりも好きかもしれない、給料日。
月に一度はきてくれるし。

ご機嫌になりながら焼き鳥を頬張っていると、隣の椅子が引かれた。

邪魔にならないように皿を寄せる。

「変わらずハイボールが好きなんだな」

自分のグラスを見つめる。
それから、隣を向いた。

「……お、は」
「おは?」
「おは、よう、ございます……」

他に何を言えば良いのか分からず、挨拶を口にした。

どちらかというと、と言いかけて、男は腕時計を見る。それがまあキラキラとした高価そうなもので。

「こんばんは?」
「あ、はい……」

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