一縷
ここの上、と示された先へ絹笠さんは視線を向ける。
「コトリクリーニング」
「わたしの職場です」
「そうか。出しにくる」
「え? いや、結構です」
正面切って仕事の依頼を断ってしまった。
「俺の職場も近い」
「知ってます。あの大きいビルですよね」
「ここに出して、受け取れるなら便利だ」
「今はほら、宅配もしてますし。家の近くの方が」
「宅配もしてるのか」
「いや、断ってるんですけど」
そんな会話の応酬の末、連絡先を交換するしないに言葉を尽くし、最終的に連絡先を教えて解放された。
疲れた。