一縷
シャッターを大竹さんが開けてくれた。
店内に光が入り、朝が来る。
「で? どんな人なのー?」
大竹さんはニヤニヤしながら店内へ戻ってくる。
わたしは入れ違いに箒を持って店の外へ出た。
「どんなって……」
どんな。
絹笠さんを思い出す。
顔も身長も職業も、申し分ない。
性格も、わざわざお金返しにくるくらいには律儀で……。
断っても一度言い始めたことはやり遂げる、くらいには頑固で……。
あれ、悪いところは見当たらないような。
「はよーございます」
表から入ってきた富士さんが挨拶をする。