一縷
一度視線を逸らし、また確認。
週末飲みに行こう、というお誘い。
美味しい焼き肉……焼き肉!?
おかかおにぎりを咀嚼しながら、焼肉屋を想像する。
最後に焼肉食べたの、いつだっけ……。
「羽巣さん、これ連絡先。バイト」
「あ、ありがとう」
富士さんがボックスに入れていた紙を引っ張り出す。
「大学生、嫌なの?」
見透かされていた。その紙を受け取りながら、んーと唸る。
働いてくれるなら、そんなことは気にしてはいけないんだけど。
「正直、とても嫌です」
「素直」
ケラケラ笑いながら持ち場へと戻っていく。