一縷
「……言いたかったのは、きっと絹笠さんとお付き合いする女性はまあそれは素敵な人なんだろうなということです」
脈略もなく彼女のことを尋ねたのは、そういう理由から。
こんな場所に急に連れて行かれてもスマートに振る舞えるのは、尊敬する。
同時に、焼き肉食べ放題しか行ったことのないわたしとの格差も目の当たりにしたけれど。
「じゃあ、羽巣さん」
「はい」
「彼女になってくれる?」
絶対にここには来るまい、と決意した隣から聞こえた言葉。
わたしは絹笠さんの杏仁豆腐もぺろりと平らげていた。