一縷

「なんの、冗談を」

はっと杏仁豆腐の容器を見る。

「それはあれですか。この歳にもなって居酒屋で一人飲みしてる女なんて可哀想だから、みたいな発想からですか。杏仁豆腐食べさせとけばいいか、みたいな」
「いや、どちらかというと今日は焼き肉を食べにきている」
「そ、そこじゃない……」

熱いお茶を飲みながら、絹笠さんは首を傾げている。

わたしもお茶を啜って息を吐いた。

「駄目か?」
「え?」
「付き合ってほしい」

目を見開きすぎて落とすかと思った。

それから入り口へと視線を向ける。まさかあそこから、誰か入ってくるのでは、と。

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