一縷

「羽巣さん、お店締めましたー」
「え、もうそんな時間!?」

時計を見上げた。
松田くんが首を傾げてこちらを見ている。

「ありがとう、お疲れ様です」
「これ、最後の一枚ですけど。蒸気アイマスクです」
「え、ありがとう……優しいね」

ロッカーに常備しているのか、箱のまま渡された。寝る前に使おう。

「表から出て良いよ、締めるから」
「まじすか! ありがとうございます」

自転車勤務なので表に駐輪している。裏から出たらまた戻ってこなくてはいけないので、面倒だ。

「本当に松田くんが来てくれて助かってる。ありがとう」

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