一縷

「お、起きてくれ」
「お客さん?」
「とりあえず、東区の方にお願いします……」

自分の家の方面へと頼んだ。

その間、何度も起こすのを試みたが、全く起きない。こんなに車で熟睡できるのも何かの才能か。

結局、家に着いた。
マンションの前で降ろされ、彼女も一緒に置いていかれた。

彼女を傍らに抱え、仕方なくマンションに入っていく。

このまま部屋に入れて良いものなのか。犯罪にならないのか?

「あ!」

部屋の前で彼女が起きた。その声の大きさに驚く。

「今何時?」
「十一時、だけど」

腕時計を見て答える。

< 75 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop