一縷
隣に並べられた男物の革靴が、まあ大きいだけでなく高そうだ。
この玄関汚してないよね……と思わず靴底を見てしまった。多分、砂埃はついてないからセーフだと、思いたい。
鍵を開いて静かに玄関を出た。
本当に、何も言わずにすみません。
寝かせてくれてありがとうございます。
一応お辞儀をした。近くのエレベーターを使って下にへおりる。階数ボタンの多さに白目を剥きかけ、漸く地上へおりた。
「おはようございます」
表の扉から入り、挨拶をする。クリーニング屋独特の服の匂いに、心が落ち着く。