10year
2年生の始業式。
先生は、私達の学年担当から外れた。
“どうして?”
それだけが私の頭を駆け巡ってた。
職員室に行けば先生に会える。それが唯一の救いだった。

----なのに。
気づいたら、学校を辞めてたなんて卑怯だよ。

生徒会役員だった私は4月の新入生歓迎会やら高校総体で駈けずり回ってた。
職員室に行く時間なんて無かった。
だから?だから、気づくのが遅れたの?
そんなのバカみたい。バカだよ、私。

ねぇ。先生はどうして学校を辞めたの?
なんで5月なの?
私の片想いはどこにぶつけたら良いの?

あれから10年も経つのに、未だに思い続けてる私はバカだよね。
もう結婚してるかもしれないのに。

あたしは・・・きっと、もう恋なんてしないよ。
先生が今も好きだから。
一時的に大人に憧れた恋じゃないよ。
一時的だったら、今はもう苦しんでいないはずでしょ。

一目でいいから会いたいよ・・・。
会えたらきっと、今の気持ちもきれいに終わらせること出来ると思うから。
ねぇ、私、叶わない願いを言ってるの?




-------今、あなたはどこで何をしていますか?
-------あなたの言葉が呪縛になって、新しい恋が出来ません。
-------いい加減、あなたの影から卒業させて下さい。
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