黒翼(ブラックウィング)
悠はスマホを見つめる。自分にケンカをさせようとしている族というのが気になって仕方がない。
桃華と関係しているのであれば1つしかない。その族が潰れ、得をするのは確実に電話の男である。
だんだんと男の意図が呑めてきた悠。時間を確認し、まだ時間があると思って教室へと戻ろうと振り返った時、そこには出くわしたくない人物が悠の目に映る。
「おい、こんなところで何やってんだ」
「お前こそ何をやっている」
「俺の質問に答えろ。今の電話は誰だ。また面倒なことに巻き込まれてんじゃねーだろーな」
悠の目に映る諒圭は眉間に皺を寄せている。
「お前に関係ねーから安心しろ」
そう言って横を通り過ぎようとする悠の腕を諒圭が止めた。
「何だ」
「何だじゃねーよ、関係ねーわけねーだろ。お前が巻き込まれれば俺達まで巻き込まれるだろーが。さっき話してたこと全部は話せ」
諒圭の言い方にイラついた悠は怒りを含めた声を出す。
「命令される筋合いはない」