黒翼(ブラックウィング)



そのころ、悠は教室に戻り自分の荷物を取り、帰り支度をしていた。


「おい、黒羽。どこに行くんだ」


丁度、担任の授業のため呼び止められるも悠は無視をして教室を出て行った。


何か理由をつけ質問に答えることは出来たはずだが、悠には今、それすらもできないほど余裕がない。

妹の桃花の命を奪うことを電話の男達には出来ないということを悠は分かっている。それでも"絶対"や"必ず"という言葉はない。

もしかしたらという話をすれば、色々なことが浮かび上がる。偶然も重なるかもしれない。



「チッ」



頭の中を駆け巡る思考、不安、怒りに今の自分が冷静になりきれないことにむしゃくしゃと何とも言えない気持ちが顔に出てしまうことに悠は自分自身を許せないでいる。

落ち着けと心の内で唱える。



相手は雑魚だ。何も怯える心配もない。すぐに方を付ければいい。



悠は振り返ることもなく真っ直ぐと校門をくぐり、学校を離れてく。



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