黒翼(ブラックウィング)
「嫌われてんな」
諒圭の言葉を無視し男達に近づくと、男達は悠を目の前に怯えた目を向けている。
悠はというと、それを知っていながらも気を遣うことなく見下しながら話をする。
「そこで伸びている男連れて失せろ。次、アタシの前に現れたら、二度と歩けないようしてやる」
「!!」
男達は悠の目を見て確信しただろう。本当にやりかねないと……。
早くこの女から離れるべきだと危険を感じた男達は、スキンヘッドの男を連れて足早に悠達3人というよりも、悠から去って行った。
悠はその背中を数秒だけ目を向けた後、振り返り2人とすれ違い男達と反対方向に歩き出した。
「どこ行くんだ?」
「帰る」
嘉耶の問いに一言返す悠。嘉耶は溜め息を一つつき、諒圭は振り回されていることに舌打ちを零しながらも、悠の後に続き歩みを共にする。
3人はそれぞれ家路へと歩くため嘉耶、諒圭と悠の元を離れて分かれる。
「じゃ」
「明日な」
2人は悠に対して女だからと言って気を遣うことをしない。いや、する必要はない。
「ふぁ~う」
欠伸を零した悠は呑気に家に帰って寝ることを考えていた。