黒翼(ブラックウィング)

周りの人間は緊張して両者を見る。


悠はそれを感じながらも、気にする様子もなくただ足を進めていく。龍黒も先程までしていた会話を止め、無言で歩み進める。


お互いがどんどん近づいて行くにつれて緊迫した空気が張り詰められていく。



そして、何事もなくただすれ違うと周りにいた人間は緊張が和らぎ息を吐く。そんなことを気にしてもしてない悠は自分のクラスへと歩いて行く。



一方、通り過ぎて行った魅影は歩みを止めた。それにより3人も同じく足を止める。


「どうしたんですか?」


秋人が問いかける。


魅影は振り返り悠の背中を無言で見る。

魅影の見る方向に3人も視線を向けると孝太郎が口を開いた。



「黒羽悠ちゃんだよね〜。隙がないよね~。それにガードが固くて俺も手が出せな〜い」

「黙れよ女たらし」

「も~、南弦。可愛い顔でそんな言葉使っちゃダメだよ~」

「二人共こんなところで喧嘩しないでくださいよ」

「秋人、これは喧嘩じゃないよ~。俺は躾をしてるだけだよ~」

「お前に躾される筋合いはない」



秋人は大きくため息を着いて二人を止める。

そんなことにはお構いなしの魅影は、消えて行った悠が歩いていた廊下を見て数秒、振り返り歩みを進めた。


魅影がスタスタと一人で歩いて行くと幹部も言い合いをやめて、同じく歩みを進めた。



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