跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
千秋さんは本当に魅力的な男性だ。当然これまで何人かの女性と付き合った経験があるだろうし、その数だけベッドを共にしてきたとわかっている。
それを考えると嫉妬心が芽生えてしまうのは事実だが、顔も知らない相手なのだから引きずられずにいられた。

けれど、実際に彼と体を重ねた女性が目の前に現れたとなれば、状況はまったく違う。

「ねえ、愛佳さん。あなた、千秋を満足させてあげられてる?」

岸本さんが彼の名を呼ぶのが苦痛で、胸元に当てた手をぐっと握って必死に耐える。唇を片側だけ吊り上げて意味深に微笑む彼女を前にすると、息苦しくなってくる。

美人で魅力的な岸本さんを相手にしてきた千秋さんが、子どもっぽい私なんかで満足するはずなんてない。

既婚者になったとはいえ、以前関係のあった女性がこれほど近くにいるのだ。それが再燃しないと、どうして言い切れるだろうか。
こんな女性に誘いかけられたら、多くの男性が靡いてしまうに違いない。

妻との間では満足できていないとしたら、なおさらだ。

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