跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「威勢のいいお嬢さんだな。まるでじゃじゃ馬だ」
「なっ」
私の態度も褒められたものじゃないが、相手の物言いもまったく遠慮がない。
「聞かされていなかったとはいえ、それなりに体裁を整えた格好をしてきたようだな。こういうのを、馬子にも衣裳とでも言うのか? お転婆でも、取り繕っていればそれなりに見られるな。もちろん、黙っていれば」
完全に馬鹿にされている。最後の勿体つけたような口ぶりが、ものすごく腹立たしい。『見られるな』なんて言われても、当然嬉しくない。
でも、これだけははっきりとした。
縁談を断ってもいいと言われてここへ来たが、私も父も立場をまったくわかってなかったのだ。この話をどうするかという決定権は、加藤側ではなくて及川にある。
冷静に考えてみれば当然の話なのに、見合いという事実が衝撃的過ぎてそれに気づいていなかった。
「ただ、加藤製陶にかける心意気は気に入った」
「え?」
ふと真剣な顔をしてそんなふうに言うから、思わずポカンとする。頭に血が上りかけていたが、それもすっと冷めていく。
「好きなんだな、加藤製陶が」
「も、もちろんです。うちの商品は、職人がプライドをかけて作ったものばかりなんです。その良さを、もう一度みんなに知ってもらいたい」
こぶしを握って力強く語ってしまった私を、意外にも千秋さんは笑わなかった。だから、調子づいて続けてしまう。
「なっ」
私の態度も褒められたものじゃないが、相手の物言いもまったく遠慮がない。
「聞かされていなかったとはいえ、それなりに体裁を整えた格好をしてきたようだな。こういうのを、馬子にも衣裳とでも言うのか? お転婆でも、取り繕っていればそれなりに見られるな。もちろん、黙っていれば」
完全に馬鹿にされている。最後の勿体つけたような口ぶりが、ものすごく腹立たしい。『見られるな』なんて言われても、当然嬉しくない。
でも、これだけははっきりとした。
縁談を断ってもいいと言われてここへ来たが、私も父も立場をまったくわかってなかったのだ。この話をどうするかという決定権は、加藤側ではなくて及川にある。
冷静に考えてみれば当然の話なのに、見合いという事実が衝撃的過ぎてそれに気づいていなかった。
「ただ、加藤製陶にかける心意気は気に入った」
「え?」
ふと真剣な顔をしてそんなふうに言うから、思わずポカンとする。頭に血が上りかけていたが、それもすっと冷めていく。
「好きなんだな、加藤製陶が」
「も、もちろんです。うちの商品は、職人がプライドをかけて作ったものばかりなんです。その良さを、もう一度みんなに知ってもらいたい」
こぶしを握って力強く語ってしまった私を、意外にも千秋さんは笑わなかった。だから、調子づいて続けてしまう。