跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「今後は外部からデザイナーをどんどん招いて、これまでとは違う商品を生み出したり、ギャラリー以外にも販路を模索したり、うちを立て直す方法はあるんです。手近なところで、道の駅とかアンテナショップなんかでの販売も検討したいですし」
加藤製陶を、これで終わりになんてさせたくない。まだまだ生き残る道はあるのだと信じて、前々から考えていた方策を意気揚々と披露する。
「ふうん。気合だけは十分だな。だが、そもそもアンテナショップなんかを訪れる客は、往々にしてその地の特産品、主に食品を買い求める傾向が強いんじゃないか。そこに値段もそれなりにするうえに、重いし扱いを慎重にしなければいけない陶器にどれほど需要があるのか。公共の交通機関を使う人の多い都心で、それほど売れると思うか? 郵送するとなると、ますます金がかかるだけだ。せめて通販を充実させるならわかるが、現地での販売は難しい」
「うっ……」
もっともすぎる意見に、なにも言い返せなくなる。自身の考えが穴だらけで幼稚過ぎだと、一瞬でやり込められた。
「それに、新しいデザイナーを呼ぶにしても、今の加藤製陶にそれほど余力があるのか? 東京のギャラリーは、もはや毎月赤字続きだ。新規にチャレンジする余裕があるとは思えないな」
外から見ただけではわからないような指摘に、相手のすごさを直に感じた。縁談をどうするかは別として、この人はある程度加藤の状況を掴んでいるようだ。
見合いを受ける以上は当然だったかもしれないが、それでは逆に父は及川をどこまで把握していただろうか。きっと千秋さんほどの下調べはしていないだろうと、心の内で首を振った。
加藤製陶を、これで終わりになんてさせたくない。まだまだ生き残る道はあるのだと信じて、前々から考えていた方策を意気揚々と披露する。
「ふうん。気合だけは十分だな。だが、そもそもアンテナショップなんかを訪れる客は、往々にしてその地の特産品、主に食品を買い求める傾向が強いんじゃないか。そこに値段もそれなりにするうえに、重いし扱いを慎重にしなければいけない陶器にどれほど需要があるのか。公共の交通機関を使う人の多い都心で、それほど売れると思うか? 郵送するとなると、ますます金がかかるだけだ。せめて通販を充実させるならわかるが、現地での販売は難しい」
「うっ……」
もっともすぎる意見に、なにも言い返せなくなる。自身の考えが穴だらけで幼稚過ぎだと、一瞬でやり込められた。
「それに、新しいデザイナーを呼ぶにしても、今の加藤製陶にそれほど余力があるのか? 東京のギャラリーは、もはや毎月赤字続きだ。新規にチャレンジする余裕があるとは思えないな」
外から見ただけではわからないような指摘に、相手のすごさを直に感じた。縁談をどうするかは別として、この人はある程度加藤の状況を掴んでいるようだ。
見合いを受ける以上は当然だったかもしれないが、それでは逆に父は及川をどこまで把握していただろうか。きっと千秋さんほどの下調べはしていないだろうと、心の内で首を振った。