跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
これまで異性とそんな関係になった経験がないのは、私のこの子どもっぽい性格のせいだ。いいなと思う人とせっかくお近付きになって告白をしても、『妹のように見ていた』とふられるばかりでまったく進展しない。年下にすらそう言われてしまうのだから、どうしようもない。
これ以上からかわれる材料を提供するべきじゃないから、こんな私的な事情は明かさないでおくべきだと口を閉ざす。
「まあ……夫婦、だしな」
嫌な緊張に、ゴクリと喉を鳴らす。
具体的な言葉はひと言も口にしていないというのに、会話が成立してしまっている。その思わせぶりな口調に、ぶるりと体を震わせた。
「お前、やっぱりかわいいよ。気に入った。この縁談、進めるぞ」
「は? な、なんで」
いやいやいや。そんなふうに決めていいものじゃない。会社の代表としてもう少し細かいすり合わせをするとか、親らの意見を聞く必要がある。今日はあくまで、この先も縁談込みの話し合いを進めるかどうかを確認する場であって、結婚を確実に決めるのはもっと先のはずではないのか。
「及川は加藤の再建に手を貸す。そのうえで、加藤は及川にブランド力で協力する。ウィンウィンの関係だろ? おまけに、俺は愛佳のお転婆でまっすぐなところがいいと思った。だとすれば、なにも問題ない」
きっぱりとそう言い切った千秋さんの表情にはわずかな迷いも見られなくて、反射的に「そうですね」と賛成しそうになる。
が、いいわけがないとぐっと踏みとどまる。私の気持ちはどこにあるのか? と、この期に及んで考えているのはお見通しなのかもしれない。
これ以上からかわれる材料を提供するべきじゃないから、こんな私的な事情は明かさないでおくべきだと口を閉ざす。
「まあ……夫婦、だしな」
嫌な緊張に、ゴクリと喉を鳴らす。
具体的な言葉はひと言も口にしていないというのに、会話が成立してしまっている。その思わせぶりな口調に、ぶるりと体を震わせた。
「お前、やっぱりかわいいよ。気に入った。この縁談、進めるぞ」
「は? な、なんで」
いやいやいや。そんなふうに決めていいものじゃない。会社の代表としてもう少し細かいすり合わせをするとか、親らの意見を聞く必要がある。今日はあくまで、この先も縁談込みの話し合いを進めるかどうかを確認する場であって、結婚を確実に決めるのはもっと先のはずではないのか。
「及川は加藤の再建に手を貸す。そのうえで、加藤は及川にブランド力で協力する。ウィンウィンの関係だろ? おまけに、俺は愛佳のお転婆でまっすぐなところがいいと思った。だとすれば、なにも問題ない」
きっぱりとそう言い切った千秋さんの表情にはわずかな迷いも見られなくて、反射的に「そうですね」と賛成しそうになる。
が、いいわけがないとぐっと踏みとどまる。私の気持ちはどこにあるのか? と、この期に及んで考えているのはお見通しなのかもしれない。