跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「実はね、お相手は亡くなったおばあさんの親友だった、菊乃さんのお孫さんなんだ」
「菊乃さん?」
回りくどい関係性に、眉をひそめる。聞き覚えのない名前に、一体どういうつながりがあるのかと父の説明を待った。
「ああ。及川菊乃さんといって、ご主人が不動産業を営んでいらっしゃったんだ。その方はもう亡くなられて、今は彼女のお孫さんが社長をされている。お相手は、その人だ」
及川で不動産と言ったら、思い浮かぶのは誰もが知っているような大企業だけ。
加藤製陶と比較したら……。いや、比較の対象になるような規模ではない。格が違い過ぎる相手だ。その社長が、私に見合い話を持ち掛けるなんてあり得ない。
「ま、まさか、『及川不動産』……」
早々に否定して欲しくて恐る恐るつぶやくと、私の意に反して父は満面の笑みを浮かべてうなずいた。
「そうそう。よく知ってるね」
信じられずに目を見張った私を、父は楽しそうに見返してくる。
国内最大手の及川不動産を、知らないわけがない。父だってその規模をわかっているはずなのに、どうしてこうもおっとりとしていられるのか。
先ほどまでの気まずそうな雰囲気をなくした父は、自分の手柄でもないのにどこか得意げな顔をした。
「菊乃さん?」
回りくどい関係性に、眉をひそめる。聞き覚えのない名前に、一体どういうつながりがあるのかと父の説明を待った。
「ああ。及川菊乃さんといって、ご主人が不動産業を営んでいらっしゃったんだ。その方はもう亡くなられて、今は彼女のお孫さんが社長をされている。お相手は、その人だ」
及川で不動産と言ったら、思い浮かぶのは誰もが知っているような大企業だけ。
加藤製陶と比較したら……。いや、比較の対象になるような規模ではない。格が違い過ぎる相手だ。その社長が、私に見合い話を持ち掛けるなんてあり得ない。
「ま、まさか、『及川不動産』……」
早々に否定して欲しくて恐る恐るつぶやくと、私の意に反して父は満面の笑みを浮かべてうなずいた。
「そうそう。よく知ってるね」
信じられずに目を見張った私を、父は楽しそうに見返してくる。
国内最大手の及川不動産を、知らないわけがない。父だってその規模をわかっているはずなのに、どうしてこうもおっとりとしていられるのか。
先ほどまでの気まずそうな雰囲気をなくした父は、自分の手柄でもないのにどこか得意げな顔をした。