跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました～年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛～
当時の商品の完全復刻版を作成するのは可能だと、先日の訪問で窯元の確認が取れている。年長者になると加藤の最盛期を直に感じてきた人もいるし、自身の親が当時加藤に勤めていたという社員も在籍している。
彼らは一様に、復刻版の製造に自分も関われるのならこんなに嬉しいことはないと話していた。千秋さんの提案は、窯元で働く者にとっての景気付けになるだろう。

「それを足掛かりに、他業種とコラボを模索できなかと考えています」

どういうことかと首を傾げる。

「有名なコーヒーチェーン店では、その店オリジナルのタンブラーやマグカップが販売されています。スポット的に、地域や店舗限定などと付加価値を付けたものも見受けられます。同じように、加藤ブランドとコラボしたタンブラーやマグカップを出してはどうでしょうか。もちろん、年齢性別問わないようなデザインをそろえて」

たしかに、私がよく行くカフェでもそういった限定商品を見かける。友人の中には、地方を回ってまでしてそろえたタンブラーを飾っている子もいるぐらいだ。彼女のような収集家も少なくないはず。

その店オリジナルのものもよいが、他企業とのコラボ商品もまた興味を惹きつけるだろう。

「ここで履き違えて欲しくないのは、その目的です。もっとも重視したいのは加藤の商品を、いや、名前だけでも知ってもらうこと。もちろん、やるからには売り上げにつながるように、デザインなどにとことんこだわるのは当然ですが、やはり一番は加藤ブランドを知ってもらうことです」

すでに提携先の目星はついており、交渉が始まっているというから驚いた。ピックアップされた店は、幅広い世代に人気のあるところばかりだ。
まずは一部の店舗限定で様子をみて、後に複数店舗に発展させていく予定まで組まれている。
最終的な判断は父にあるが、ここまで準備されていれば拒否をする理由はない。
　

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