跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
見合いの当日、そんな目論見で約束のホテルへひとりで出向くと、そのロビーの隅でなにやら激しくやりとりするふたり組がいた。よく見れば、片方は直前になって流し読みした釣書の女性だと気づき、思わず聞き耳を立てる。
『騙したの!?』
この女性は、見合いを知らされていなかったのか。それならば断るのも簡単だろうと安堵していたところ、次に聞こえてきた彼女の熱弁に歩き出した足を止めた。
『諦めるのなんていつだってできるわ。もう少し、足掻いてもいいじゃない』
『加藤ブランドはまだまだ巻き返すチャンスはあるのよ』
彼女も俺と同じなのだろう。会社が好きで、少しでも業績を回復できるように自力で取り組みたいと、全身で訴えている。
たとえその内容が未熟であったとしても、心意気は褒めてやる。
今時、あれほど熱くなれる人間も珍しいものだ。社長の娘だと聞いてお嬢様育ちの女性かとうんざりしていたが、どうやら違ったらしい。
緩んだ口元を隠しもせず、果たしてあのじゃじゃ馬は待ち合わせの場に現れるのだろうかと、自分でもよくわからない期待を抱きながらエレベーターに乗り込んだ。
待ち合わせ時間ちょうどになって、見合い相手はひとりでやってきた。正体がばれているのにも気づかず、取って付けたようなすまし顔に笑いそうになるのをぐっと堪える。
少しつつけばすぐに仮面のはがれてしまう愛佳がおかしくて、つい意地悪な言葉をかけてしまう。顔を赤らめて言い返す必死な様は、見ていて飽きない。
釣書を見たときにも不意に目をとめてしまったが、容姿が自分好みだったのは嬉しい誤算だ。
本人は子どもっぽいといと感じている面も、俺からしたらこれからいろいろと教え甲斐があって楽しみでしかない。
打てば響くように返ってくる彼女の言葉が、少々憎らしいものであってもかわいく見えてしまうあたり、ばあさんには癪だが、初対面から彼女を気に入ったのだと認めざるを得ない。
『騙したの!?』
この女性は、見合いを知らされていなかったのか。それならば断るのも簡単だろうと安堵していたところ、次に聞こえてきた彼女の熱弁に歩き出した足を止めた。
『諦めるのなんていつだってできるわ。もう少し、足掻いてもいいじゃない』
『加藤ブランドはまだまだ巻き返すチャンスはあるのよ』
彼女も俺と同じなのだろう。会社が好きで、少しでも業績を回復できるように自力で取り組みたいと、全身で訴えている。
たとえその内容が未熟であったとしても、心意気は褒めてやる。
今時、あれほど熱くなれる人間も珍しいものだ。社長の娘だと聞いてお嬢様育ちの女性かとうんざりしていたが、どうやら違ったらしい。
緩んだ口元を隠しもせず、果たしてあのじゃじゃ馬は待ち合わせの場に現れるのだろうかと、自分でもよくわからない期待を抱きながらエレベーターに乗り込んだ。
待ち合わせ時間ちょうどになって、見合い相手はひとりでやってきた。正体がばれているのにも気づかず、取って付けたようなすまし顔に笑いそうになるのをぐっと堪える。
少しつつけばすぐに仮面のはがれてしまう愛佳がおかしくて、つい意地悪な言葉をかけてしまう。顔を赤らめて言い返す必死な様は、見ていて飽きない。
釣書を見たときにも不意に目をとめてしまったが、容姿が自分好みだったのは嬉しい誤算だ。
本人は子どもっぽいといと感じている面も、俺からしたらこれからいろいろと教え甲斐があって楽しみでしかない。
打てば響くように返ってくる彼女の言葉が、少々憎らしいものであってもかわいく見えてしまうあたり、ばあさんには癪だが、初対面から彼女を気に入ったのだと認めざるを得ない。