跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
私たち夫婦はどうだろうかと考えたところ、ふたりの結婚は政略的なものであり、まさしく損得勘定で結ばれたと気がついて後ろめたくなってくる。
ただ、こうして岸本さんに言われるまで、なぜだか少しもそんな気がしていなかった。それは彼と打ち解けて、さらに子どもを考えるまでの深い仲にもなったからだろうか。そこに打算的な気持ちは少しもなかった。
千秋さんの方は、どう思っているのだろうか。
「だってそうでしょ? 会社を守ってもらえるうえに、及川社長は言うまでもなく高収入。おまけに彼は情に厚くて優しい人だわ。性格も収入もついでに容姿まで、女性の理想そのもの。彼、女性社員の間で人気が高いのよ。もちろん、既婚者となった今でもね」
なんだろう。にこやかな表情をしている岸本さんだけど、その瞳の奥は少しも笑っていない。それどころか、どこか仄暗いものを感じてしまう。
それに、千秋さんが女性社員に人気があるなんてあまり聞きたくない。想像すると、もやもやしてくる。
「まあ、社長にしたら加藤ブランドを利用できるのはいいけど、それだって代わりはいくらでもあったはず。若いお嫁さんをもらえるのは、男としてはプラス、なのかしら?」
若さなんて今は主張できても数年もすれば関係ないし、私はそれを売りにしたつもりもない。
要するに、千秋さん側にはメリットと言えるようなプラスの材料はないと指摘されているのだろうか。
岸本さんの物言いに、どんどん追い詰められていくような感覚になる。
目の前の彼女は、あくまで笑みを浮かべて一見友好的なように見えるが、彼女にマイナスな意図は本当にないのだろうかと、穿った見方をしてしまう。
ただ、こうして岸本さんに言われるまで、なぜだか少しもそんな気がしていなかった。それは彼と打ち解けて、さらに子どもを考えるまでの深い仲にもなったからだろうか。そこに打算的な気持ちは少しもなかった。
千秋さんの方は、どう思っているのだろうか。
「だってそうでしょ? 会社を守ってもらえるうえに、及川社長は言うまでもなく高収入。おまけに彼は情に厚くて優しい人だわ。性格も収入もついでに容姿まで、女性の理想そのもの。彼、女性社員の間で人気が高いのよ。もちろん、既婚者となった今でもね」
なんだろう。にこやかな表情をしている岸本さんだけど、その瞳の奥は少しも笑っていない。それどころか、どこか仄暗いものを感じてしまう。
それに、千秋さんが女性社員に人気があるなんてあまり聞きたくない。想像すると、もやもやしてくる。
「まあ、社長にしたら加藤ブランドを利用できるのはいいけど、それだって代わりはいくらでもあったはず。若いお嫁さんをもらえるのは、男としてはプラス、なのかしら?」
若さなんて今は主張できても数年もすれば関係ないし、私はそれを売りにしたつもりもない。
要するに、千秋さん側にはメリットと言えるようなプラスの材料はないと指摘されているのだろうか。
岸本さんの物言いに、どんどん追い詰められていくような感覚になる。
目の前の彼女は、あくまで笑みを浮かべて一見友好的なように見えるが、彼女にマイナスな意図は本当にないのだろうかと、穿った見方をしてしまう。