強面カイくんの、行き過ぎる溺愛
「快李…」

「ユウってさ。
離れたくないって言わねぇんだ」

「え?」
「さっきみたいに“気を付けてね”って言って、中に入ってくんだ」
「そりゃあ、仕事だからね」

「ユウが“離れたくない”って言ってくれたら、その瞬間……会社に連れ去るのに。
そしてもう二度と、放れない!
あの黒い部屋に閉じ込める」

「快李、狂ってる」

「うん、だから最初からそう言ってるだろ?
でもまだ、大丈夫だ。
自覚があるし、理性で食い止められるから」

「てか!黒い部屋って何?
閉じ込めたら、それこそ仕事の間会えないんじゃないの?」

「フフ…」
色沢の言葉に、快李が笑う。
その笑顔は、ある意味不気味だ。

「え━━━━かい…り…?」
色沢は、ブルッと身体を震わせる。


「黒い部屋は、俺の“天国”その物の部屋だ!」



「━━━━━快李。出張のこと、結理ちゃんに話したの?」
「あー、それどうにかなんねぇの?」
「どうにかなるなら、言わないよ!」
「だよな…じゃあ、今日話す」
「うん。まぁ、なるべく早く終わらせるように務めるから」

そして会議中の、快李。
「━━━━快李、今ここにいるメンバーで行くから」
「ん。よろしく」


会議室から出た、女子社員達。
「初めてよねー、社長との出張」
「緊張するー」
「やっと、お近づきになれる!」
「奥さんがいないしー(笑)」

「ねぇ!!」
楽しそうな社員達に、強い口調で声をかける色沢。

「あ!色沢さん!」
「お、お疲れ様です!」
壁に寄りかかり腕を組んでいる色沢に、驚愕して振り返る社員達。

「君達、声…大きいよ?」

「え?」
「丸聞こえ!!まだ、仕事中だよ?」

「す、すみません!」

パタパタと去っていく社長達の後ろ姿に、再度声をかける。
「快李は、君達のことなんか全く眼中にないよ」

「え?」
「眼中どころか……存在も認識していない」
「は?」
「まぁ、そうゆうことだから」
そう言って色沢は、社長室に戻ったのだった。

「色沢」
「ん?」
「ユウも連れてくの、ダメだよな?」
「ダメだよ」
「だよな…」
「快李、往生際が悪いよ」
「だって、息ができねぇんだもん!」

「そうゆうものなの?本気で愛するって」

「わからない。
少なくとも俺は、無理!!今も、既に帰りたい。
ユウに会いたい。放れたくない」

「ここまでくると、ワガママだな」

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