強面カイくんの、行き過ぎる溺愛
「じゃあ…ユウちゃん、行ってくるね」
そして、出張日。
玄関先で快李と結理は、名残惜しそうにしていた。

「うん…」
「はぁー、行きたくないなぁ…」
「寂しいね…」

「ユウちゃん、寂しい?」
「うん、そりゃあ…」

「離れたくない?」

「え?そりゃあ、カイくんとずっと一緒にいたいよ。今回は、一週間なんでしょ?
こんなに長い期間離れるの、お付き合いしてから初めてだし……」
結理は寂しさで快李から目をそらし、呟くように言った。

(可愛い…可愛すぎ……////なんでユウって、こんな可愛いの…?)
結理の言動が、快李を更に狂わせていく。

「あーどうしようー!やっぱ、ユウちゃんを連れていきたい!!
離れたくないって言ってくれたから連れてく!」
「え?だ、ダメだよ!!カイくん、お仕事なんだよ?私は行けないよ。それに私も、お仕事あるし」

「よし!決めた!!ユウちゃんを連れてく!!」

「え………か、カイくん!!?」

快李に引っ張られるようにして外に出た結理。

屋敷前に車が止まっていて、運転席から色沢が出てきた。
「やーっぱり!!」
「色沢?」
「ハジメくん?」

「快李のことだから、結理ちゃんを強引に連れてくると思ったんだ。
やっぱ思った通りだ!」

「ユウが、離れたくないって言ってくれたんだよ!」

「だからって、連れてけないって言ったよね?」
「いいじゃん!そんな場所は遠くないから、僕がユウを職場まで送り迎えすりゃあいいし!」

「はぁぁ!!?
散々話したよね!?
今回の出張は、店を出すからその為の下見も兼ねてて、常に移動するからどっちにしても結理ちゃんを一人にするって」
恐ろしい快李相手にも、びくともせず見据え言った色沢。

「………」
「快李」
「あ?」
「お前、理性が保ててるっつったよな?」
「色沢…」

「だったら、その理性をフルに活動させろよ!!」

「………」
「………」
「……わかった」
ゆっくり結理を掴んでいた手を下ろした快李だった。

(やっぱ……ハジメくんは、頼もしいなぁー)

色沢の車に乗り込み、去っていく車を見えなくなるまで見つめていた結理。


色沢に出会った大学生の頃のことを思い出していた。


入学式を終えて、数日━━━━━

講義室で講義が始まるのを待っている快李と結理。
入学早々、強面のせいで誰もが怖がる中。

結理をひたすらうっとりを見つめていた、快李。
結理は恥ずかしがりながら、顔を赤くしていた。

「おはよう!」
突然、色沢が声をかけてきた。

「………」
警戒し、睨み付けた快李。
「あ、お、おはようございます」
そして結理は、驚愕しながらも答える。

「隣いい?」
色沢が結理の隣を指差した。

「あ、どう━━━━━」
「ダメだ!!」
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