強面カイくんの、行き過ぎる溺愛
「え?」
「カイくん、そんなこと言わないで?」

「だって嫌なんだもん!
ユウちゃんの隣に男が座るなんてあり得ない!」

「………じゃあ、乙坂くんの隣ならいい?」
色沢が、微笑み言った。

「勝手にしろ!」
「ありがとう!!」

それからも色沢は、よく快李と結理に声をかけてきた。
「おはよう!乙坂くん、相良さん!」
「おはよう、色沢くん!」
「お前、また来たの?」

快李がどんなに邪険にしても声をかけてきて、少しずつ快李の心の中に入り込んでいった。



「━━━━━快李って、結理ちゃんのこと本当に大好きなんだね~」
「あ?なんだよ、突然」

色沢と一緒にいることが当たり前になってきて、今日も三人で学食に昼食中。
突然、色沢が言い出した。

「だって、ガラッと態度が変わるんだもん!
結理ちゃんの前では柔らかくて優しいのに、結理ちゃん以外には警戒心と嫌悪感で雰囲気が鋭い。
前からこんな感じなの?」

「そうだよ、ユウちゃん以外は興味ない」
「へぇー」

「まぁ、そうだよな…」
色沢の表情が少しかげる。

「ハジメくん?」
「え?あ、ううん!」
「ハジメくん、カイくんのこと嫌いにならないでね」
「え?結理ちゃん?」
「ユウちゃん!!僕は構わないって言ったでしょ!!」

「でもカイくん、初めてできたお友達でしょ?」

「だからって、僕はユウちゃんしかいらない!」

「結理ちゃん、大丈夫だよ!」
「え?」

「俺も同じだから」

「え?ハジメくん、同じって?」

「快李、俺のこと覚えてないみたいだけど……」
「狂犬のハジメ」

「え?」
「◯◯中の同級生だった。
確か、中三の時一緒のクラスになった」

「覚えてたの?」
「うん」

「狂犬?」
首をかしげる、結理。

「俺の実家、ヤクザなんだ」
「え?そ、そうなんだ」
「びっくりした?」
「う、うん…正直、ハジメくんそんな感じしないから」
「フフ…だよね!
でも俺は、関わらないようにしてるけどね!
兄貴達がいるし」

「色沢こんな見た目だけど、結構喧嘩強いよ」
快李が続けて話す。
「フフ…快李には、負ける」

「だから、狂犬?」
「うん、色沢って喧嘩してる時楽しそうなんだ。
それで“狂ってる”って言われて、その呼び名がついたんだよ」
「そうなんだ…」
(可愛い顔してるから、全然想像できない…)

「結理ちゃん、想像できないって顔してる(笑)」
「あ…ごめん……」

「ううん!ぶっちゃけて、快李の方がそれっぽくない(笑)それにその刺青、有名だよ?
その刺青の男に睨まれたら、半殺しってね!」

「うるせーよ!」
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