強面カイくんの、行き過ぎる溺愛

カイくんの嫉妬は凄まじい

｢一週間かぁー｣
｢結理、初めてじゃない？そんな離れるの｣

その頃の結理は、高校の時からの友人・静樹(しずき)と深雪(みゆき)の三人でランチをしていた。

｢うん｣
｢……………大丈夫なの？｣
｢え？｣

｢だって、大学ん時からだから……７・８年間ずっと乙坂くんと常に一緒にいたじゃん！｣
｢そうだね…｣
｢一人で寝れる？｣

｢なっ…////失礼なっ！！｣

｢ごめん、ごめん(笑)
でも、寂しいね……｣
｢うん…｣


｢はぁー、一人かぁ…｣
静樹達とのランチ後、ゆっくり帰宅している結理。

｢乙坂さん？｣
｢へ？
………あ、明野(あけの)さん！｣
｢お疲れ～
……って、今日は休みだっけ？｣
明野は、職場の社員だ。

｢あ、はい｣
｢一人？｣
｢はい｣
｢………｣
｢………ん？｣

何故か、ジッと見つめられる。

｢………｣
｢……あの、明野さん？どうしました？｣
見上げ、明野の顔を覗き込む。

｢…………やっぱ、似てる…｣
｢え？誰にですか？｣
｢あ、ごめんね…
俺の好きだった人に、乙坂さん似てるんだ｣

｢へ？そうなんですか？｣
｢うん…
雰囲気がね……｣
切なく揺れる、明野の瞳。

｢その人は、今、どうしてるんですか？｣

｢ん？いないよ｣

｢え？いない？｣
｢もう…五年になるかな？亡くなったんだ……｣

｢え……！？そう…なん、ですか……
ごめんなさい。何て言ったらいいか……｣
｢ううん。誰だってそうだよ！｣


｢…………ねぇ、今、暇？｣
不意に明野が言った。
｢え？あ、はい｣

｢コーヒーでもどうかな？｣
明野が切なく、微笑んでいた。


｢━━━━━そんな、似てますか？｣
近くのカフェで、コーヒーを飲んでいる二人。

｢雰囲気が。
でも外見とかは、乙坂さんの方が比べ物にならない位、綺麗だけど……
だから、乙坂さんと話してると心地いいんだ。
なんか、佐織(さおり)と話してるみたいで……！｣

｢フフ…そうなんですね。喜んでいいのかな？｣

｢ほんと…そっくりだ…｣
微笑む結理を見て、明野が呟く。

｢…………どんな気持ちなんだろう｣
｢え？｣
｢愛する人を亡くすって……
私だったら、確実に後を追ってるな……｣

快李を失ったら……
結理はそう考えるだけで、胸が張り裂ける。


｢悲しいとか、苦しいとかはもう…越えて、今は何の感情もないかな…｣

｢そうなんですね。ごめんなさい、変なこと聞いて｣

｢ううん。
━━━━━━あの、変な意味はないんだけど……
今は乙坂さんに会えると思って生活してる。
今日も一日、乙坂さんに会えるから頑張ろうって！｣