強面カイくんの、行き過ぎる溺愛
その日の晩。
結理は、快李に電話をかけていた。

「あ、カイくん?」
『ユウちゃん!どうしたの?寂しい?』

「うん…」
『そうだよね…ごめんね……
でも僕も寂しい…』

「………カイくん」
『ん?』

「カイくんは、私を置いて死んだりしないでね…?」

『ユウ…?』
「カイくんがいなくなったら、私……」
『ユウ』
「え?」

『言ったよね?僕は、ユウを置いて死んだりしないって!』

「うん……」
『大丈夫だよ!
ごめんね…いつもみたいに傍にいたら、抱き締めて離さないのに!
やっぱ、ユウを連れてくんだった!』

「もう!カイくんったら!」
フフ…と笑いながら言う、結理。

『あ…笑ってくれた…!』
「フフ…ありがとう!カイくんがいなくて、寂しいけど……頑張るね!」
『………うん』
「ん?カイくん?」
『ううん。
……………今すぐ会いたいって言ってくれねぇんだ…』

「え?何?」
『ううん!明日また、連絡するね!
声だけでも聞かないと、僕…苦しいから』

「うん…」
通話を切る。
「会いたいに決まってるでしょ……?
でも……カイくんはお仕事してるんだし、言えるわけないじゃん……」

結理は一人呟くのだった。


そして快李も━━━━━━━━

「なんで、強がんだよ……!?
ユウが“会いたい”って言ってくれたら、今から車走らせて会いに行くのに……
たった5分しか会えなくても、会いに行くのに……」

ガン!!と壁を殴り、呟くのだった。






たった一週間の出張。
普通なら、こんなことぐらいで二人共寂しがって、馬鹿馬鹿しいと思うだろう。

しかし二人に(特に快李)とっては、致命的な苦痛なのだ。



快李も結理も、お互い苦しい想いを吐き出しながら、眠りに着くのだった。





< 25 / 31 >

この作品をシェア

pagetop