桜が咲く頃に、私は
Sudden death
2月10日、15歳の誕生日。


私は親と喧嘩をして家を飛び出した。


喧嘩の理由はよく覚えていないけど、家を出る理由は家庭崩壊と言うやつだ。


夜になり、泊まる場所を探して街を歩いていた私は、駅前でいつも歌っている人の歌を聴いていて。


その人は、バンドの一人で、整った顔立ちだけど、冷たそうな目をしているという第一印象で……どこか寂しそうな目だなと感じた時、私の口から声が飛び出した。


「ねえ、家に泊めてよ。行くところがないんだ」


まるで告白でもするかのように、心拍数が上がったのがわかった。


男の人は驚いたように目を丸くして、そしてクスッと笑うと私の額を指で弾いたのだ。


「バーカ。中学生だろお前。家に帰れよ」


「帰りたくないんだよ。お願い。一日だけで良いから！」


顔の前で手を合わせて頭を下げる私を、男の人は困った様子でため息をついて。


「ダメだ。でも……そうだな」


断られたのがなんだか寂しくて、この後の言葉の記憶はほとんどない。


気付いた時には友達の家に転がり込んでいて、それ以降、友達の家やネットカフェを転々とする生活が続いて今に至る。


高校一年の10月。


私の運命が、終わりに向かって動き出そうとしていた。
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