桜が咲く頃に、私は
空が行くように促すけど、誤解って何?


「無理だよ! 私と空がキスしてるの見たんだよ!? それで誤解って言ったって、そんなの信じるバカはいないよ! キスしないと死んでしまうなんて、誰が信じるの!? 私のせいだ……やっぱり、家でするべきだったんだよ」


「悪い。俺の……せいだな」


数字が減って「96」になった空が、申し訳なさそうに呟いた。


でも、私は首を横に振って。


「私がバカだったんだよ。毎日あんたとキスしなきゃならないのにさ。仕方ないことだって言い訳しながら、毎日広瀬の気持ちを裏切ってたんだよね。私は……もっと早くに広瀬と別れるべきだったのに! でも好きになってさ、どんどん離れられなくなったんだよ!」


自業自得……天罰。


どれだけ罵声を浴びせられても仕方ないことを、私はしていたとわかってる。


信じてもらえなくても、私が死んだあの日の翌日にでも、全てを話せば良かったのかもしれない。


それで離れて行くなら……それで良かったんだ。


これほど傷付くことはなかったと思うし、私もこんなに泣くことはなかった。


今までに流したことがないくらい、ボロボロと頬を伝って落ちる涙。


早く謝って事情を説明しないとという想いと、私は死ぬんだからこのまま別れた方が良いという想いがせめぎ合って……どうすればいいかわからなくて泣いていたんだ。
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