桜が咲く頃に、私は
その日は、空の家に帰っても私は落ち込んだままで。


何とか広瀬と話をしたい。


どうしてこうなったのか、しっかり説明したいと思いながらも、客観的に見れば私が二股を掛けているとしか思えないこの状況にただ涙して、メッセージのひとつも送ることが出来なかった。


思えば空の彼女の花子だって、私と空がキスしているのを見て、離れて行ったんだ。


あの時の私は、ことの重大性なんて全く興味がなくて、別れるのに私を使ってくれるなくらいにしか思っていなかった。


それが今、全部自分に返ってくるなんて。


翠にメッセージを送っても、解決方法なんて教えてくれるはずもなくて。


『嫌われて別れられるなら、それで良かったんじゃない? あんたを好きなままだったら、広瀬は悲しんだだろうからね』


それは、私が死んだら……ということなのだろう。


最初から翠はそのことを心配していたから、もしかしたら私と広瀬を見て一番苦しんでいたのは翠かもしれないな。


こんなこと……翠にしか相談出来ないし、出来ることなら広瀬とは別れたくない。


広瀬といたから、私はクラスの皆と仲良くなれたし、こんなにも人を好きになれたんだから。
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