桜が咲く頃に、私は
花子が帰った後、気を取り直して私達は部屋の飾り付けをしたり、料理を作ったり。


一番料理上手な夢ちゃんがいないのが厳しかったけど、三人で大騒ぎしながら準備して、なんとかパーティの形にはなりそう。


「てか、夢ちゃんって一人で家事こなしてんの? マジやべぇってか、マジ尊敬なんだけど。ちょっと凄すぎない?」


「翠もそう思うでしょ。中学生なのに勉強しながら、手伝いをしない空の世話をしてるんだよ。超人だよ超人」


大皿いっぱいの唐揚げを奥の部屋のテーブルに運びながら、つまみ食いをする翠が感心したように唸る。


「悪かったな。俺は金を稼いで来てるから、夢が家事をするのは当然だろ。疲れてるんだよ。肉体労働を一日してるとさ」


「出たよ。稼いでるから家事は女の仕事だ発言。早春の家でもそれで仲が悪くなって離婚原因になったんだよな。未だにいるんだねこういうやつ。天川、あんた絶対に結婚しちゃいけない男だよ」


まさかうちの両親を引き合いに出されるとは思わなかったけど、実際に翠の言う通りなんだよね。


共働きなのに家事は全部お母さんがやっていて、お父さんは何も手伝おうとしなかった。


元々家事がそれほど得意ではなかったお母さんはストレスを溜めて……って感じかな。


まあ、お母さんから聞いただけだから、本当のことはわからないけどさ。


私が手伝えていたら少しは違ったのかもしれないけど、そう思った時にはもう、二人の仲は険悪になっていたんだ。
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