桜が咲く頃に、私は
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、パーティの後片付けが終わると、翠は家に帰って行った。


撮った写真は明日にでもプリントアウトして持って来ると言って。


ほんの少しの非日常が終わり、普段の生活が戻って時間は23時過ぎ。


私の布団で眠る夢ちゃんの頭を撫で、そっと布団から抜け出して、隣の部屋で待つ空の所に。


ふすまを開けると、いつものように夜空を見上げる空の姿。


誕生日が楽しかったのか、「92」まで減ってる。


「ありがとうな。なんて言うか……誕生日のことだけじゃなくて、花子のことも。やっと今日、終わったんだなって実感した」


空にとっても、私にとっても、今日という日は大きな意味を持つ日だったんだ。


「そうだね。良かったじゃない。完全にではないにしても、少しは理解してくれたみたいだったし」


「なんと言うか……広瀬のことはごめん。あの時、お前が言うように家でしていればこんなことにはならなかったんだよな」


外でキスしたから、私を見掛けた広瀬が追い掛けて来て、その現場を目撃してしまった……というのは確かにそうなんだけどね。


でも、仕方ないんだよ。


これ以上引きずっても、私が死んだ時に心に大きな傷を負うことになってしまうから。


それならいっそ、私が死んだ時も悲しまないくらい嫌われた方が良いよね。
< 125 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop