桜が咲く頃に、私は
声のトーンが落ちて、寂しそうな目になる空。


隣に座って、言葉の続きを待った。


「このまま早春がここに住んでたら……近い将来、俺も早春も死んでしまって、夢には大きな悲しみを背負わせてしまうことになる。あいつはそれに耐えられるのかなって」


それを言われると……私だって苦しい。


夢ちゃんが私のことを家族のように思ってくれるのは嬉しいことだけど、私も空も死んでしまうのだから。


「うん……でも私は、死ぬ時には夢ちゃんに迷惑は掛けないから。どうすれば良いかなんてわからないけど。てか、こんなに悩まなきゃならないなんて、あの天使って本当に天使なの? 悪魔かなんかじゃないのもしかして」


「天使……か。早春はさ、俺達のどちらかに余命が一年残ってたなんて話、信じるか?」


「信じるも何も、現にこうして半年ずつ分け合って生き返ったじゃない。だから、残ってたんじゃないの? 多分だけど」


死んだ時に天使に説明を受けたけど、私は特に不思議に思う部分はなかったけど。


ああ、こういうこともたまにはあるのかもしれない……くらいにしか思ってなかったけど、違うの?


「もしかしたら……俺達の余命なんてなかったんじゃないか?」
< 127 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop