桜が咲く頃に、私は
それはまた、随分とんでもない発想だ。


だとしたら天使が見せた、現に今、私達の頭の上にある数字は何だって言うの?


「あの時、天使が言ってたことが気になってたんだよ。『死に直面すれば余命は即座に無くなる』ってさ。つまり、もしも俺が自殺したら、この数字は0になるってことだろ?」


「言葉通りなら、そういうことになるね。余命が残ってるから何をしても死なないなんて都合の良いことはないってことだね……って、あれ?」


そこまで言って、私は妙な違和感に気付いてしまった。


余命が残ってても死なないわけじゃない?


だとすれば、私と空が死んだ時……あの瞬間に余命は0になっていた?


「気付いたみたいだな。多分、俺達の余命なんて残ってなかったんだ。何のつもりか知らないけど、俺達に命を与えて生き返らせたんだよ、あの天使は」


「一体何の為にそんなことしたわけ? 全然意味がわかんないんだけど」


そもそも、私か空のどちらかの余命が残っているって話だったのに、そこから嘘だったってことだよね。


「さあ? でもこれは俺の仮説だし、もしかしたら本当に余命が残ってたかもしれない。でもさ、あの天使が嘘をついてまで俺達を生き返らせたって考えたら……きっと何か意味がある事だったんじゃないかって思えるんだ」
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