桜が咲く頃に、私は
そうかもしれないね。


少なくとも私は、生き返ってからは充実した毎日を送れているし、考えることも多くなった。


とにかく早く時間が過ぎろと願うだけの、生きているか死んでいるかわからなかった昔とは違って、どんな瞬間でも一分一秒が愛おしく思える。


「さて……今日もあと10分で終わる。そろそろいつもの作業をするか」


私の腕を掴み、引き寄せようとする空に、私は力を入れて抵抗した。


一つだけ、確認しておきたいことがあったから。


「ねえ空。これって本当に作業なんだよね? 私とキスする度に数字が減るのって、そういう感情があるからじゃないよね?」


自分で尋ねておいて、心臓の音が大きくなるのがわかった。


私自身、どんな感情でドキドキしているのかわからないけど、空が何も言ってくれないから答えが出ない。


「……もしも、俺が早春を好きだったら、キスするのをやめるのか?」


「そうじゃない……けど。そういう答えはズルいよ。だって、しないと私達は死ぬんだから」


「だろ? だから、それにそういう感情はいらない」


さらに力を込めて私を抱き寄せた空。


咄嗟に空の胸を押して、離れようとしたけど……空の方が力が強くて。





「でも、俺は好きだから」





そう囁かれて、空の唇が私の唇に重ねられた。
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