桜が咲く頃に、私は
そこから、堰を切ったように私は話し始めた。


広瀬が戸惑っているのも関係なく、ただひたすらに死んでからのことをずっと。


何を言ってもどうせ信じてくれないという思いと、この機会を逃したらもう、二度と本当のことを話せないと思ったら。


案の定、話し終えると広瀬の顔は引きつっていて、私の話を信じてくれていないのだということがわかる。


いや……少しでも信じようとしているからこそ、どう消化すればいいのかがわからないのかもしれない。


「何を……言ってるのかがわからない。どういうこと? 僕が今まで付き合ってた桜井さんは、死人だったってことなの?」


「一度死んだけど生き返って……でも、もうそれほど生きていられる時間は多くないんだ。だから、広瀬が悲しむくらいならって、このまま黙ってようと思ったんだけど……」


「確かに、とても信じられる話じゃないし、今でも信じられない。でも! 付き合っていたなら本当のことをどうして話してくれなかったの!? 僕は桜井さんのことを全部知りたかったのに……結局、桜井さんのことが何もわからなかった! 話してくれていたら、あの時だって乗り越えられていたかもしれないのに!」
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